2014年5月30日金曜日

"between"と"among"

皆さま、こんにちは。ねこです。
急に暑くなったので、夏毛の準備が間に合いません。
水分補給が必須です。


さて、今日は、"between"と"among"のお話。
なんとなく漠然と、2つの物の間の場合は"between"
3つ以上の場合は"among"という覚え方をしている人が
多いのではないでしょうか。

例えば、"between"の主な使い方には
次のようなものが挙げられます。

The Hudson River flows between New York and New Jersey.
(ハドソン川は、ニューヨークとニュージャージーの間を流れる)

What's the time difference between Tokyo and Chicago?
(東京とシカゴの時差はどのぐらい?)

boundary between two countries
(二国間の国境)

bridge between different cultures
(異文化の懸け橋)

Between you and me.
(ここだけの話なんだけど)

Read between the lines!
(行間を読め=空気読めよ!)

次に"among"の文例を見てみましょう。

The word is used among young people.
(その言葉は若者の間で使われている)

cooperation among small and medium-size enterprises
(中小企業間の協力)

live among enemies
(敵に囲まれて暮らす)

live among friends
(友達に囲まれて暮らす)

stand among the audience
(観客の中に立つ)

spread among friends
(友達の間に広まる)

spread among people
(普及する)

なんとなくイメージは湧きますか。
3つ以上というよりも、むしろ、
「集合体の中で」という印象です。

そして、英語学習者がおや?と思うのは、ここから。
実は3つ以上の物があっても、
1つ1つを個別に取り出して具体的に比較する場合は、
"between"を使います。
例えば、こんな文例があります。

Switzerland lies between France, Italy, Germany, Austria, and Liechtenstein.
(スイスは、フランス、イタリア、ドイツ、オーストリア、リヒテンシュタインに囲まれている)

There are a lot of  differences between Japanese, Chinese, and English.
(日本語と中国語と英語には多くの相違点がある)

The relationships between the three files are explained in the diagram below.
(3つのファイルの関係は、下図に示されています)

 もう1セット、面白い文例を紹介しましょう。
こちらの2つの文章から、どんな情景が思い浮かびますか。

Tom walked between the trees.

Tom walked among the trees.

"between"を使った場合は、
両脇に木々が並んだ小道を歩いていくという印象です。
並木道とでもいいましょうか。
別に1本1本の木に注目しているわけではありませんが、
道を挟んで、こっち側の木とあっち側の木があるわけです。

"among"を使った場合は、
木が乱立する公園や森の中を歩いていく感じです。
別に木が隙間なく植わっているわけではなく、
ちゃんと1つ1つの木の区別もつきますが、
別にその1つ1つを個々に注目しているわけではないのです。

なんとなくイメージは湧きましたか。
それとも、余計に混乱しちゃいました?
ん~、なんかよく分からないやと思った人は、
とりあえずは気にしなくて大丈夫です。
だって、日常会話で"between"と"among"を間違えたところで、
大した問題にはなりません(笑)
そういうのは、専門家に任せておいて、
まずは、どんどん声を出して音読練習していきましょうね。
実際に口の筋肉を動かして練習を重ねていくと、
こういう違いも自然に身についてくるものですよ。^^

2014年5月29日木曜日

食の国際化

皆さま、こんにちは。ねこです。
昨日のWBSで食の国際化について、
面白い情報が紹介されていました。

1つは食材ピクトグラムというもの。
http://foodpicto.sakura.ne.jp/foodpicto/concept.html

アレルギーや宗教上の理由で
食べられない食材がある人でも、
安心して注文ができるように、
使われている食材を絵にしてメニューに載せる
という試みが始まっているそうです。

そう考えると、絵というのは、
言語よりもシンプルに
物事を伝えることができるんですよね。
当たり前のことなのですが、
これは、なかなか新鮮な驚きでした。

また、東京都は
外国語メニュー作成支援WEBサイト
というものを提供しているとのこと。
http://www.menu-tokyo.jp/umc/index.php/user/top

これも名案ですね。
あちこちの店に同じようなメニューがあるわけですから、
個々のレストランが、必死で辞書やGoogle翻訳を使いながら
英語版メニューを作成するよりは、はるかに効率的です。

ただ、気になる点が2つ。
万が一、このサイトの翻訳に間違いがあった場合、
このサイトで作成したメニューは
皆そろって間違い英語を掲載してしまうということ。
(わりとありがちなお話です…)

もう1つは、その店らしいネーミングのメニューがあっても
「訳せない」という理由で、画一化された名前になり、
どこの店に入っても、似たようなメニューに
なってしまうのではないかという懸念です。

とはいえ、やはり英語やその他の言語のメニューがあれば、
日本を訪れる外国人にとっては、すごく安心ですよね。
そういう意味では、メニューや標識などの国際化を進めつつ、
サービスを提供する人間の国際化も
併せて進めていけるのが理想ですかね。^^


<今日のおまけ>
先日、「サラダ油」って英語で何て言うんですかと
聞かれました。
はて、サラダ油…。どうなんでしょ?
調べてみたところ、"salad oil"という表現や
"cooking oil"という表現が見つかりました。

ただし、実際のところ、ネイティブ自身も、
料理の本に"salad oil"と書いてあるのを見ると、
じゃあ、いったい何を使えばいいの?と迷う人もいる様子。

もう少し詳しく調べてみたところ、
"salad oil"というのは、簡単に言ってしまえば、
ドレッシングを作る際に使う食用油全般を指すもので、
corn oil, soybean oil, sunflower oil,
safflower oil, canola oil, peanut oil, a light olive oilなどの
野菜系のオイル全般を指すようです。
http://www.tarladalal.com/glossary-salad-oil-673i

【ポテト ポタト】

皆さま、こんにちは。ねこです。
海外ドラマや映画を見まくっています。
立て続けに見ていると、面白いことに、
あるドラマに出てきた英語のセリフの元ネタが、
別の古い映画の歌の歌詞だったりと、
思わぬつながりに気づいたり。

『フレンズ』の第7シーズンの第5話。
"divorced men's club(離婚同好会)"を
"sad men's club(ダメ男同好会)"と
言い間違えたフィービーに、ロスが訂正。
すると、フィービーは"Potato, Potato.【ポテト ポタト】"
と言います。
字幕は「目クソ鼻クソ」。

どんな風に発音しようと内容は一緒
というニュアンスなのは分かりましたが、
この英語表現は、いったいどこから来たんだろう
というのが頭の片隅に引っかかっていました。

すると、映画『恋人たちの予感』で流れる歌に
なんと、そのフレーズが!

まずは、こちらのYouTubeで歌をどうぞ。
この動画、とてもよくできているのは、
2種類の発音の違いを
分かりやすく表示してくれているところ。

【ポテイトゥ】というのがアメリカ的な発音、
【ポタト】というのがイギリスや
オーストラリア的な発音になります。

そして、この歌詞のおおまかな意味は、
「まあ、発音の違いなど、いろいろ違いはあるけれど、
これ以上、言い争うのは、やめましょう」というものです。

つまり、『フレンズ』のフィービーは、
この歌を意味して、
"Potato, potato【ポテト ポタト】"
(=どっちでも同じこと)と言ったのですね。
いやはや、たったの2語の裏にも文化あり。
ドラマは侮れません。

ちなみに、歌のタイトルは
"Let's Call the Whole Thing Off"
「もう言い争いはやめましょう」
「私たちは意見が合わないということをお互いに認めましょう」
というニュアンスです。

何でもかんでも、シロかクロか決着をつけようとはせず、
違いを認め合うというのも大切かもしれませんね。^^

2014年5月27日火曜日

"Let It Go"

皆さま、こんにちは。ねこです。
NHKのスーパープレゼンテーションで、
キューバ=フロリダ間の遠泳に成功した
64歳の女性のプレゼンを見ました。
こちらです。
http://www.nhk.or.jp/superpresentation/backnumber/140507.html

これ見たら、本当に勇気が湧いてきます。
やりたいことは、何でもやっちゃいましょう!


さて、今日の話題は、"let"を使った表現について。
"let"には、いろいろな意味がありますが、
「~をさせる」のニュアンスで使う場面を
よく見かけるように思います。

例えば、英語を学んでいない人でも
よく聞いたことのある"Let's go"。
元の形は"Let us go(私たちを行かせよう)"で、
それを省略したものが、"Let's go"というわけです。

「ちょっと見せて」というカジュアルな表現で、
"Let me see"というものがあります。
これは、「私に見ることをさせて」というニュアンスです。


"let"を使った表現は、
歌のタイトルや歌詞にも、よく登場します。
例えば、ビートルズの"Let It Be"。
"be"というのは、いわゆるBE動詞で、
"am" "are" "is"などの原形です。
"I am happy."  "It is hot."などのように
人や物の状態を表します。

ビートルズの歌の場合、簡単に言ってしまえば、
「それをそのままにしておきなさい」という意味になります。
もう一歩踏み込むなら、
「目の前の出来事を変えようともがいたりせず、
あるがままを受け入れればいいのですよ」
というニュアンスになります。



次は季節外れの曲になりますが、
クリスマスソングの"Let It Snow"。
この"snow"は「雪」ではなく
「雪が降る」という動詞で使われています。
つまり、"Let it snow"というのは、
「雪が降る状態にさせておけ」というニュアンス。
簡単に言ってしまえば、
「雪よ降れ、雪よ降れ、雪よ降れ」というのが
サビの部分の歌詞なんですね。



そして、今、話題の『アナと雪の女王』の"Let It Go"。
英語本来のニュアンスとしては、
「それをそのまま行かせてやりなさい」となり、
通常の訳例としては、「あきらめろ」「放っておけ」
「それを手放しなさい」「気にするな」
「さっさと忘れちゃいな」という感じになります。

この曲の歌詞としては、
「もう押さえきれないのだから、解き放ってしまえ」
というニュアンスのようですね。


そして、絶妙なのが松たか子さんの歌う
日本語版の歌詞です。
タイトルは「ありのままで」、
曲中の歌詞は、「ありの~、ままの~」となっています。

ねこが翻訳を学んだ学校が、アルクのサイトに、
この吹き替えについての記事を出しているので
よかったら、こちらもご覧ください。
http://www.alc.co.jp/eng/hontsu/tips/kaleido.html

「解き放て」と「ありのままで」では、
随分ニュアンスが違うのでは?と思う人も
いるかもしれませんね。
でも、ストーリーや歌詞を見ていくと、
「もう我慢して、いい子でいる必要なんてないから、
ありのままの自分を出して、力を解き放ってしまえ」
という流れになっているため、
「ありのままで」というタイトルと
「ありのままの」という歌詞は、
音や口の動きまで考慮した場合、
絶妙な訳と言えるわけです。

その絶妙な日本語吹替版がこちらです。


64歳のスイマーから勇気をもらったり、
ディズニーの歌詞から元気をもらったり。
立て続けにこういう映像に出会うと、
なんだかエネルギーが湧いてきますね。^^


<TOEIC用のおまけ>
今回取り上げた"let"は「使役動詞」です。
TOEICのパート5に、よく登場します。

"let"を使う時の単語の並べ方は、
"let +人または物+動詞"です。
"to"が必要だっけ?と迷ったら、
"Let It Be" Let It Snow" "Let It Go"を思い出してください。
"to"は使われていませんよね。

"let" "have" "make"のあとに「人や物」が来たら
"to"はつけずに「動詞」、
"get"のあとに「人や物」が来たら
「to不定詞」と覚えておきましょう。

2014年5月19日月曜日

視力の話

皆さま、こんにちは。ねこです。
いきなりの質問ですが、
目はいいほうですか?

ねこは、これまで何でもよく見えていたのですが、
ここにきて急に右目の視力が低下しました。
もしや老眼!?と思って焦ったのですが、
遠くも近くも、あまりよく見えません。
これはマズイと思い、
今、必死で目のトレーニングをしています。

こちらの「大人も子供も目がよくなる「視力回復」CDブック」というもの
なにげに効果がありそうです。^^



そして、歩きながら、または電車の中で、
一番遠くにある読めそうで読めない文字を
読もうと努力するようにしているんですが、
ふと気づいたのは、これまでいかに
手元ばかり見て暮らしてきたかということ。
遠くを見るようにすることは、
文字どおり「視野を広げる」ことにも
つながるのかもしれませんね。


さて、今日は視力関連の英語表現を見ていきましょう。
まず、「視力」というのを英語で何と言うか。

口語では"eyesight"
医学用語としては"visual acuity"という
表現が使われるようです。

ちなみに、視力検査の時に、
輪っかの空いている方を「上」「下」と言うときは
"up"と"down"ではなく、"top"と"bottom"と言います。

実際の視力を指す口語表現としては
「近視」が"nearsighted"、遠視が"farsighted"です。
難しい医学用語もありますが、
難しくて覚えられないので、ここでは割愛します(笑)。

そして、ここからがすごく面白いポイント!
「私の視力は1.0です」というのを英語で言うと
"I have 20/20(twenty-twenty)vision."となります。

えっ? どっから20が出てくるわけ?と
びっくりしますよね。

これは、視力1.0に相当する人が、
20メートル離れて見えるとされているものを
その人も20メートル離れたところから見える
という意味です。

1.0の人が10メートルまで近づかないと見えないものを、
20メートル離れたところから見えるとしたら、
20/10(=視力2.0)、
逆に1.0の人が40メートル離れたところから見えるものを
20メートルの距離でしか見られないとしたら、
20/40(=視力0.5)ということになります。

つまり、主な英語圏の国々では、
フィート表示の分数のままを言い、
日本はその分数を計算した後の数値を
言っているのです。

これに気づいたきっかけは
アメリカ人の友人が
"I have twenty-twenty vision"と言っていたのを聞いて、
「うっわ~、この人ってば、両目2.0なんだ。スゲー」
と勘違いしてしまったせいなんですが(笑)、
やはり、実際にネイティブと会話をしたり、
映画やドラマの表現をじっくり聞いていると
意外な表現に出会えるものですね。

今後もいろんな表現との出会いを大切にして、
こちらのブログで紹介していきたいと思います。


<本日のおまけ>
こちらの2枚の画像は、
何らかの自動翻訳を利用して、
日本語に訳されたサイトのものです。

"Spread words!(クチコミで広めて)"
と書きたかったんでしょうね(笑)



こういうのを見ると、
少なくとも日本語に関しては
まだ、人間の翻訳者が
活躍できる余地が残されてるかなと思い、
ちょっとホッとします。^^

2014年5月18日日曜日

英文スクリプトを活用する

皆さま、こんにちは。ねこです。
先日、資料映像の一部の翻訳を担当した番組が

今夜放送になるようです。
「天才 ボビー・フィッシャーの闘い~チェス盤上の米ソ冷戦~」
BS1  5月18日(日)午後7:00~8:49

チェスの名人、ボビー・フィッシャーと関わった人の
膨大なインタビューの映像を見ながら、
タイムコード付きでWordに全訳をせっせと書き出す作業を
させていただきました。
おそらく番組制作者がその中から、
使いたい映像を切り出して編集し、
字幕か吹替えを付けて放送するのだと思います。
この聞き取り&翻訳作業のおかげで、
リスニング力が鍛えられ、
ちょっぴり世界情勢にも詳しくなりました。^^


さて、映像翻訳にはこのように英文スクリプトがなく
自分の耳で聞き取って訳すものと、
英文の台本もしくは、映像の音声を書き起こしたものが
送られてくる場合があります。
インタビューなどは、自分の耳で
聞かなくてはいけないことが多いですね。
逆に、テレビのドラマやドキュメンタリーなど
制作の段階で、台本があるものは、
その台本をいただけることが多いです。

ところで、映画やドラマの台本、
かなり多くのものが、ネット上で閲覧できるって
知っていますか?

ねこが時々利用するのはこの2つ。

The Internet Movie Script Database(IMSDb)
http://www.imsdb.com/
(※広告動画が流れるので音量にご注意ください)

Simply Scripts
http://www.simplyscripts.com/

後者のほうが、ちょっと使い方が難しいのですが、
上手に検索していくと脚本にたどり着けます。

例えば、こちらはIMSDbで検索した
ディズニー映画「リトル・マーメイド」の脚本です。
http://www.imsdb.com/scripts/Little-Mermaid,-The.html
(※広告動画が流れるので音量にご注意ください)

今、私の仲良しさんの1人が、
この脚本と映画のDVDを使いながら、
一生懸命、英語の練習をしています。

お気に入りの映画の脚本を見つけて、
好きなシーンを練習してみるっていうのも
なかなか楽しいものですよ。
ちなみに、ねこは大学の4年間、
このやり方でリスニング力を鍛えました。^^
(当時は本屋さんで映画のスクリーンプレイを
買ったんですけどね)


ところで、映画と言えば、
1つ、どうしても訳したい作品があるんです。
この夏、オハイオ州シンシナティーで撮影される予定の
マイルス・デイビスの伝記映画です。

"Miles Ahead"
監督:ドン・チードル
脚本:スティーブン・ベイグルマン、ドン・チードル
出演:ゾーイ・サルダナ、ユアン・マクレガー、ドン・チードル
http://www.imdb.com/title/tt0790770/

こちらは、最近アップされた撮影関連のニュース。
http://www.wlwt.com/news/don-cheadle-zoe-saldana-to-film-movie-in-cincinnati/25933240

「マイルスにもっとも近づいた男」として知られる
某音楽カメラマンさんも知り合いだし、
ジャズ・ミュージシャンの知り合いも多いので、
かなり適切な字幕をつけられそうな気がするんだけど、
誰かこの映画の字幕、私に発注してくれないかなぁ…。^^

2014年5月16日金曜日

ねこ的翻訳事情

皆さま、こんにちは。ねこです。
常時2~3件の翻訳が同時進行している状態で、
なかなかブログをアップできません。
うれしい悲鳴です。
そして、気づけば、アクセス数8万件突破!!\(^o^)/
1日あたり200人前後が
読んでくださっているようなので、
頑張って書いていきたいと思います。
引き続き、応援よろしくお願いします。

さて、今日は翻訳のお話。
ここのところ、皆さんの目にふれる機会のある
案件が続いていたので、その内容と一緒に、
作業の進め方もご紹介したいと思います。
(※今回のブログは、やや翻訳者さん向けの内容になります)

まずは、今週末から公開されるこちらの映画。

『ルーシーズ』(日本語吹替版)
監督: マイケル・コッレンテ
出演者: ピーター・ファシネリ ジェイミー・アレクサンダー マイケル・マドセン
吹替版: 永井大 川越サキ 一馬芳和
脚本: ピーター・ファシネリ
http://www.ttcg.jp/human_shibuya/comingsoon#f2349

字幕ではなく、吹替えの翻訳を担当させていただきました。
他の案件も動いていて、
スケジュールが厳しかったので、
もう1人の翻訳者さんと前後半に分けて作業。
約90分の作品の後半をねこが訳しています。

ちなみに、この案件の作業開始から
納品までの期間は約2週間。
スケジュールが完全にフリーで、
吹替えではなく字幕だったら、
丸ごと引き受けられる分量ですが、
吹替え翻訳に慣れていないことと、
他の案件もあったことで、
半分だけ担当させていただきました。

1つの作品を手分けして訳す形で
発注が来るかどうかは、
翻訳エージェントによってまちまちです。
何人かで訳す場合は、納期よりも早めに仕上げ、
一旦、翻訳者同士で原稿を交換し、
統一が必要なところなどを相談します。


もう1つ、最近手がけた大きな案件がこちら。



な、なんと、マライア・キャリーの新譜の
歌詞対訳です!!
もう、気絶しそう!!

こちらは、作業開始から納品までが
わずか2日!
そのうちの1日は、丸一日レッスンがあったので、
実質的に作業ができたのは、わずか1日。
こちらも、もう1人の翻訳者さんと
手分けして訳しました。
ねこが担当したのは、
1、2、3、5、6、8、9曲目の計7曲です。

歌詞を訳す場合は、
英語歌詞がエージェントからメールで送られてきます。
曲もCDやMP3ファイルで送られてきます。
絶対に流出させてはいけないデータなので、
歌詞も音源も、かなり慎重に取り扱わなくてはいけません。

作業の進め方は、人によっていろいろだと思いますが、
ねこは、文字の翻訳の場合、
英文1センテンスごとに、次の行に日本語訳を書くという形で
まずは、英語と日本語のシマシマ状態の対訳ファイルを作ります。
解釈に不安があるところ、調査が必要なところは、
文字を赤にしておきます。
この段階では、とにかく誤訳や訳抜けがないかを
綿密にチェックしていきます。
納得がいくものができたら、印刷します。

次に、PC上で英文を1つ1つせっせと消します。
この消す作業をする際にも、見直しをしています。
そして、日本語だけになった状態で全体を読んでいくと、
言葉のリズムや流れの悪いところなどが気になってくるので、
対訳を印刷したものを眺めながら、
微調整をしていきます。

ちなみに、歌詞対訳をしている時は、
訳している曲のMP3をエンドレス再生しています。
歌い手がどういう気持ちで
この言葉を発しているのか、
そこに気持ちをシンクロさせていくと
なんとなく言葉が降ってきたりもします。
(降ってこない時もありますが…)(^^;


さて、今、もう1つ、
メジャーな案件を手がけています。^^
映画『X-MEN:フューチャー&パスト』の
プレミア映像の字幕です。


映画本編ではなく、
20世紀FOXの公式YouTubeにアップされている
世界各国でのプレミアイベントの
ハイライトをまとめた短い映像です。

こちらは1分半程度の短い映像ですが、
翻訳スケジュールはかなりタイトです。
夜の8時から11時ぐらいに映像が届き、
翌日の午前中に納品という感じ。

映像と一緒に、スクリプト(英文)ファイルが
送られてくる案件もありますが、
こちらの案件は、スクリプトはありません。
自分の耳で頑張って聞きます。
(聞き取れない場合は、ネイティブに
相談することもあります)

この案件の場合、まずは15分から20分程度で、
字幕を入れる位置を決める作業(スポッティング)を行います。
そして、英語を書き起こしていきます。
書き起こしにかかる時間は、
内容によってまちまちですが、
この案件は、30分くらいでしょうか。
(まったく覚えてない)(^^;

そして、サクサクと字幕をつけていきます。
いい言葉が思い浮かばないときは、
とりあえず直訳を書いておくこともあります。
ここまで終わったら、寝ちゃいます。

翌日、ウォーキングに出かけ、
朝食を食べ、掃除をし、英語音読を済ませたら
字幕の見直しをします。
そうすると、「おっ! やっぱりこうしよう!」
という感じで、違う字幕を思いつくので、
どんどん書き換えていきます。

ひととおり完成したら、
エクセルにエクスポートして眺めます。
そうすると、違和感のある表現や
タイプミスなどに気づくことがあります。
そして、「ひ~、危なかった」と思いながら、
またPC上で修正し、全体を通して見てみます。
そして、ようやく納品です。
何やら大変な作業のようですが、
かかる時間はトータルで2~3時間程度(かな?)。

字幕を訳す場合の時間の見積もりとして、
スポッティングから納品まで、
映像1分あたり1時間というのを
目標にして作業をしています。
例えば、5分の映像なら5時間、
30分番組(正味26分程度)なら26時間なので、
1日あたり約8時間の作業を3日やって、
半日ほど空けてリライト作業という感じ。

複数案件を同時進行する時は、
午前中はこっちの案件の字幕番号50まで、
午後はこっちの案件の字幕番号125まで
というふうに、スケジュールを決めて進めます。

で、そのとおりに進むのかというと、
まあ、ほんと、いろいろです。
予想以上に調べ物に時間がかかる時もあれば、
サクサクと作業が進んで、
お昼寝がたっぷりできちゃう日もあります。

まあ、でも、ある程度の時間の見積もりができることは
別案件を同時受注できるかどうかの
判断をするにあたって、とても重要ですね。


さて、ここのところ、いろいろと
面白い案件を担当させていただいていますが、
今後、訳したいものがいくつかあります。

・料理番組の字幕(昔、訳してたけど、またやりたいなぁ…)
・心温まる劇場公開映画の字幕(怖いやつはダメっす)
・ジャズ関連のインタビューや物語の字幕
 (マイルスの映画、訳したいぞ!)
・絵本翻訳(昔、賞を取ったのに出版に至らなかったのです)

こういうのって、どんどん言葉にして発信していくと
夢が叶いやすくなるらしいので、
日頃から、言い続けてみることにしましょ。^^

では、仕事に戻ります。
今夜も、プレミア映像が届く予定。
楽しみ、楽しみ。^^

2014年5月7日水曜日

"would you"と"could you"

皆さま、こんにちは。ねこです。
TOEICの結果がネット上で表示されましたね。
受験した皆さん、いかがでしたか。
ねこは…

う~ん…

決して悪くはない、
いや、いいスコアではあるのですが、
990点満点を目指していただけに、
やや複雑な心境です。

でも、満点獲得の参考書には、
こんなことが書いてありました。

 990点を何度も取る人は、
 テストにおいて「上限」に達しているだけであり、
 実力は1200点レベルなのです。
 TOEICが測定できないほどの高い力を
 持っているからこそ、満点が出ているのです。

つまり、ねこはまだ、時の運で、
990点付近をウロウロする程度の実力
ということなんですよね。(^^;

というわけで、TOEICについて、
もっと自信を持って語れるように、
引き続き頑張ります!


さて、前置きが長くなりましたが、
今日の話題は"would you"と"could you"の違い。
知っている人は、
余裕で使いこなしているかもしれませんが、
「この2つ、どっちが、より丁寧なんですか?」と尋ねられ、
一瞬、しどろもどろになりました。
あれれ? どうなんだろ?

そして、リサーチしてみたところ、
あまりにも当たり前すぎる事実が…。

"would you"は"will you"を丁寧にしたもの、
"could you"は"can you"を丁寧にしたもの。
つまり、どちらが丁寧かという問題ではなく、
ニュアンス自体が違います。
前者は相手の意思を尋ね、
後者は可能かどうかを尋ねているのです。

2つの文例で比べてみましょう。

"Would you show me the photo?"

こちらは、写真を見せてくれる気があるか
という質問のニュアンスも含めつつ
お願いしている表現です。
つまり、写真があることは分かっていて、
それを見せてもらえるかどうかは、
相手次第という状況です。

"Could you show me the photo?"

こちらは相手の意思を尋ねるというよりも、
物理的に、写真を見せることが可能かどうかを
尋ねるニュアンスを出しつつお願いしています。
例えば、企業秘密で見せられない状態かもしれない、
あるいは、写真を紛失しているかもしれない、
などの可能性を案じつつ尋ねているわけです。。

このリサーチをしていたら、もう1つ
面白くて分かりやすい文例に出会いました。

○ "Would you marry me?"

× "Could you marry me?"

この場合、通常は"would you"しか使いません。
なぜでしょう?

"would you"で尋ねた場合は、
相手に結婚の意思があるかどうかを
尋ねていることになります。

しかし、"could you"を使ってしまうと、
相手が結婚が可能な状態かどうかを
尋ねる質問になってしまうのです。

つまり、こんな会話になってしまうことも。

男性:Could you marry me?
(僕と結婚できますか?)

女性:Yes, I could, but I wouldn't.
(ええ、できますけど、したくないわ)

英語でプロポーズをする予定のある人は、
ぜひ、しっかり覚えておいてくださいね(笑)

2014年5月4日日曜日

ネイティブが使わない英語表現

皆さま、こんにちは。ねこです。
先日、アメリカ人とイギリス人の友人と一緒に飲みながら、
日本人の使う英語表現について、
いろいろとネイティブの本音を聞かせてもらいました。

いやはや…。
もう、なんていうか。
唖然。
当たり前のように使っていた表現ですら、
実はネイティブにとって違和感のあるものだったりと、
かなり衝撃を受けました。
さっそく、いくつかの例をご紹介しましょう。

"Long time, no see"
「久しぶり!」という意味で、テキストなどにも
頻繁に登場する表現です。
これ、実は、ネイティブは、ほとんど言わないそうです。

じゃあ、どんな言葉を使うかというと…
"It's been a long time."
"It's been a while."
"Haven't seen you for ages!"など。
それに加えて、
"It's nice to see you again."
"How have you been?"
などと言ったりもするそうな。

ちなみに、ちょっとリサーチしてみたところ、
"Long time, no see"という表現は、
昔、中国人が「好久不見」という中国語を
英語に直訳して言ったものを、
アメリカ人がふざけて真似をしている間に
広まった表現なのだとか。

まあ、でも、ネイティブは使わない表現だけれど、
アメリカでもイギリスでも、広く認知されている表現なので
「久しぶり~!」って言いたいんだな
というニュアンスは十分に伝わるそうです。

"See you"
"See you"だけで止めるのは、違和感があるそうです。
"See you on Monday"
"See you tomorrow"
"See you next week"
といった形で、"See you"のあとに
「いつ」というのを入れるのが普通なのだそうです。

追加でリサーチしてみたところ、
いつ会うかわからない場合は、
"See you later"
などが使えます。

カジュアルな表現としては、
"Later"(※"See you later"の"later"だけ残したもの)
"See ya"
などが使えるようです。

"I'm fine"
"How are you?"という質問に対して、
"I'm fine.  Thank you."というのは、
なんとなく日本人にとっての
定型表現のようになっていますが、
この"I'm fine."というのは、
実は違和感があるとのこと。

もちろん口調にもよるかとは思いますが、
言葉のニュアンスとしては、
「私は大丈夫。(だから、ほっといて!)」
という感じになってしまいます。

では、どんな風に答えるかというと、
"Good"
"Pretty well"
"Not so bad"
"I'm OK"
など。

今度、映画やドラマを見る時には、
人と人が会う場面で、
どんな挨拶を交わしているか、
じっくり聞き取ってみましょう。

"cherry blossom viewing party"
「お花見」というと、この表現という感じで
どんどん定着しつつあるようですが、
"cherry blossom viewing"と言われると、
みんなでテーブルの上に桜の花を置いて、
じ~っと凝視しているのを連想してしまうとのこと。(^^;

むしろ、"hanami"という日本語を使うか、
あるいは、"I had a picnic under the cherry blossoms."
と言ったほうが違和感がないそうです。

とはいえ、"cherry blossom viewing"という直訳的な表現も
かなり浸透してはいるようなので、
今後はどうなっていくでしょうね。
"sushi"や"kimono"のように、
"hanami"という表現が定着するのか、
はたまた"cherry blossom viewing"で定着するのか。

ちなみに、Wikipediaの英語版の見出しは
"hanami"となっていて、
"lit. flower viewing(直訳:花を見ること)"と書かれています。
http://en.wikipedia.org/wiki/Hanami

Lonely Planetにも"hanami"と書かれています。
http://www.lonelyplanet.com/japan/travel-tips-and-articles/76349

最近では、台湾、韓国、中国、フィリピンなどにも、
"hanami"という文化が広まりつつあるようですが、
元々は日本独特なものだったんですねぇ…。

"maybe"
"maybe"という表現を使ってはいけない
という意味ではありません。
使い方の問題です。
日本人は、「~だと思う」というニュアンスで
"maybe"という表現を使うことがあるようですが、
それは、状況によっては、
ものすごく無責任に聞こえるとのこと。

例えば、歯医者さんが患者さんに何かを説明するときに
"maybe"という表現を使うと、ネイティブは、
「え~、専門家なんだから、
ちゃんと確信を持って治療してよ~!!」
と言いたくなるのだとか。

また、待ち合わせの時間などを決める時に、
「5時には行けると思う」などという文章の最後に
"maybe"なんて付け加えられると、
「こいつ、ほんとに来る気あるのかな?」
と不安になるそうです。
「5時には行けると思う」と言いたいのであれば、
"I'll be there by 5, I think"と言ってほしいとのこと。

"Let's have a great day"
この表現は、あまり聞いたことがないかもしれませんが、
外国人と日本人が一緒にいるミーティングの終わりに
「よろしくお願いします」の訳として使われがちな表現です。

これは、ネイティブにとっては、
やや押しつけがましく感じる表現。
つまり、「いい一日を過ごすことを強要されている」
という印象を受けるのだそうです。
チアリーダーや軍隊のような、
いわゆるイケイケな雰囲気というか、
やる気満々なイメージですね。

では、ミーティングの終わりには、
どんな言葉を言うのが自然なのかと聞いてみたところ、
"Thank you for your time"
あたりが無難とのことでした。

とりあえず、英語表現についての解説は
ここまでになりますが、
いやはや、それにしても、
ものすごく勉強になりました。

そして、本物の英語を学ぶためには、
やはりネイティブとの会話や、映画・ドラマで
本物の英語に触れることが本当に大事だなぁ…
ということを実感しました。

実際のところ、他にもいろいろ
間違っていることがありそうで、
口を開くのが怖くなっちゃうなぁ
という気持ちにもなりました。

でも、仮に失礼な表現を使ってしまおうとも、
非ネイティブが精一杯、心を込めて言葉を発していたら、
相手だって、表情や声音などからも、
こちらの言いたいことを汲み取ってくれるはずです!
なので、怖がらず、開き直りの気持ちも大事にして、
どんどん声を出していきましょう。

そうそう、英語に対して、
こういった疑問を持つきっかけを与えてくれたT.K.さん、
本当にありがとうございました!


<本日のおまけ>
母と一緒に、春日部大凧マラソンで5キロを走りました♪