2016年3月2日水曜日

アカデミー賞を訳す

皆さま、こんにちは。ねこです。
昨日はアカデミー賞関連のテレビ番組を
大勢の翻訳者さんと分担して訳しました。

いわゆるグループ翻訳という方法で、
自宅で1人5分程度を担当します。
映像は10分ぐらいずつに分けて
次々とアップロードされるので、
担当部分をダウンロードします。

聞き取り担当の人(主にネイティブ)が
スクリプトを作成する間、
字幕担当は、SST G1というソフトで
「スポッティング」という作業をします。
どのタイミングで字幕を出すかを
決める作業です。
「ハコ切り」や「ハコ割り」とも言います。

字幕は1枚、2枚と数えます。
1枚の字幕の長さは、最大で7秒まで。
1秒につき4文字まで入れられるので、
例えば4秒の字幕なら、
16文字前後入ります。

行数は2行まで。
1行の最大文字数は、
番組によってさまざまですが、
今回は13文字でした。

この手の番組は人名や作品名が
とても重要なので、
「多少、字数がオーバーしても、
読みきれる場合はフルネームで」
という指示が出ています。

でも、レオナルド・ディカプリオとか、
マイケル・ファスベンダーとか、
みんな、名前長すぎ…。(--;

さて、せっせとスポッティングをして、
とりあえず聞き取れるところから、
どんどん字幕を入れていきます。
今回、担当した字幕の総枚数は93枚。
半分ぐらい埋まったところで、
英文スクリプトが届きました。
これ、ちょっと答え合わせっぽい感じです。

訳していて、一番気を遣うのは、
「過去に3回受賞」などの
記録に関する部分です。
こういう情報は、原音だけを信用せずに、
アカデミー賞の公式サイトで、
情報に間違いがないか確認します。

万が一、音声と公式サイトの情報が
一致しない場合は、
「原音では、2回と言っていますが、
公式サイトでは3回なので、
字幕は“3回”にしています」
といった申し送りを添えておきます。

さて、映像の受け取りから、
納品までが約6時間。
(担当したパートは、
10:15受け取りの16:15納期)

翻訳者が納品を済ませると、
今度はそれをチェッカーが確認し、
表記や解釈に間違いがあれば、
修正します。
今回は表記などのチェックをする担当と
解釈や情報のチェックをする担当が
いたようです。

…と、こんな感じで、
なんとか無事、終了したわけですが、
今回は反省点がいっぱいでした。

今回、字幕担当用と聞き取り担当用の
メーリングリストが別々に用意されていたのに、
それをことごとく違う方に送ってしまったり、
問い合わせを出す時に、
担当パートの番号を間違えて書き、
それに気づいて、大慌てでメールを送ったら
その番号もさらに間違えていたり…。

急いでいる時ほど冷静にならないと、
余計なミスを誘うものなんだなぁ…と
大いに反省しました。

ところで、今回の翻訳で学んだ表現は、"pool"。
"If you’re doing a pool, ~"という
条件節の形で出てきました。

これ、参加者の賭け金を
勝利者が分け合う「プール賭博」と
言われるものです。

つまり、「アカデミー賞の結果について
友達と賭けをするなら、
絶対、○○に賭けるべきです」
という意味のセリフでした。

ほんと、いつも仕事をとおして
学ぶことがいっぱいです。

字幕のお仕事に興味がある方は、
ねこが映像翻訳を学んだ学校の
オープンスクールに、
ぜひ、足を運んでみてくださいね。

日本映像翻訳アカデミー
オープンスクール
【日程】
2016/3/13(日)
2016/3/27(日) ※詳細が決まり次第、申込受け付けを開始します
2016/4/10(日) ※詳細が決まり次第、申込受け付けを開始します
http://www.jvta.net/tyo/open-school/